一般的に予防治療というと、歯みがき指導やフッ素塗布から始まると思われがちですが、予防治療の最初の役割は「歯医者さんを好きになってもらうこと」だと思っています。
「治療のためでもなく、虫歯にならないためでもない。お子さんは、まずは遊びにいらっしゃい」というのが当院のスタンスです。そのためにはコミュニケーションをとることが何より大切です。そのために、たとえばお絵かきしてもらったり、虫歯のお話を聞いてもらったりお母さんたちがクリーニングをしているところを間近に見てもらうこともあります。
興味を持ってもらうと、歯科医院は子どもたちにとって、意外と楽しい場所なのです。
面白いと感じるところから始めて、だんだん口の中に興味を持っていってもらえるといいなと思っています。
歯科医院に親しみが湧いてきて初めて、クリーニングやフッ素塗布が始まるのです。
入口にも入って来られなかった子が、あるときから恐怖心に打ち勝って、自分から治療を受けるように変わっていく。「一歩踏み出すことができた」。お子さんはこれによって、他の物事に対しても自信を持つことができ、自分を信じられるようになります。そういう変化を見ることができるのも、この仕事の喜びです。当院では、子どもの患者さんの多くが「大人になったら歯医者さんになる」と言ってくれます。それは、本当に嬉しいことだといつも感じています。